大学セミナーハウス

本館 全景

【DATA】

  • 所在地:東京都八王子市下柚木
  • 設計:吉阪隆正+U研究室
  • 施工:清水建設
  • 竣工:1965年〜

 静かな自然環境の中に教員と学生の交流の場を提供することを目的として、多摩丘陵に設立された研修施設です。 宿泊施設、研修施設、管理施設、食堂などの10以上の施設が、造成をできるだけ行わずに丘陵地の地形を生かしながら分散配置され、自然環境と一体となった空間を作り出しています。 20年以上(8期)をかけて建設されてきた施設群には、一つとして同じ形が無いのにもかかわらず、不思議な統一感が生み出されています。

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同潤会 江戸川アパートメント

江戸川アパート 銘板

【DATA】

  • 所在地:東京都新宿区新小川町
  • 設計:同潤会建築部営繕課
  • 施工:銭高組
  • 竣工:1934年

同潤会が設計した最後の集合住宅は、JR飯田橋駅の北側、首都高5号線の高架のそばにありました。総住戸数260戸という大規模のもので、竣工当時、多彩な共用施設やエレベーター、電話、スチームなどの近代的な設備が備えられ、非常にモダンな雰囲気を持っていたことから、「東洋一のアパートメント」と称されたと言います。

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東京中央郵便局

東京中央郵便局 ファサード

【DATA】

  • 所在地:東京都千代田区丸の内
  • 設計:逓信省営繕課(吉田 鉄郎)
  • 施工:銭高組
  • 竣工:1931

 大阪中央郵便局と同じく逓信省の建築家、吉田鉄郎の設計による郵便局舎。東京駅丸の内出口を出て左手に見えるこの建物は、大阪と同様に、柱梁を顕にした真壁の和風建築から着想したと言われる外観が特徴です。
 大阪と同様無装飾で簡潔なファサードで、そっけないくらいの印象を受けますが、西洋の様式主義的な意匠を体得しようとする動きがまだまだ見られた当時にあって、この建物が首都東京の表玄関に姿を現したことは、非常にインパクトのある出来事だったのではないかと思います。

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大阪中央郵便局

大阪中央郵便局ファサード

【DATA】

  • 所在地:大阪市北区梅田町
  • 設計:逓信省営繕課(吉田 鉄郎)
  • 施工:大林組
  • 竣工:1939年

 旧逓信省営繕課の建築家 吉田鉄郎は逓信省の多くの建築を手掛けましたが、なかでも東京と大阪の二つの中央郵便局によって高い評価を得ました。そのどちらも現役で活躍しています。
 東京中央郵便局が緩やかなカーブを描く不整形な敷地に沿った流れるようなファサードに白色のタイル張りであるのに対して、大阪は比較的整形に近い敷地の二つの道路に面して直線を基調としたファサードに褐色がかったグレーのタイル張り。同じ設計者、用途も同じだというのに形態、材料ともに対照的です。

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プラダブティック青山店

プラダ ファサード

【DATA】

  • 所在地:東京都港区南青山
  • 設計:ヘルツォーク&ド・ムーロン
  • 施工:竹中工務店他
  • 竣工:2003年

 表参道に面して建つちょっとボテッとした不思議なプロポーション。イタリアの有名ブランド プラダのブティックです。
 一見して目を引くのは、建物全面を覆うスチールでできた菱形のグリッドとそのグリッドに嵌め込まれた凹凸平3種のガラス。ストイックなまでに限定されたエレメントでつくられた、モノコックで不規則な形態のオブジェクは、地面に「建っている」というより無造作に「置かれている」といった様相で、建物というよりも、あたかも巨大な彫刻作品を見てるかのようです。

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国立西洋美術館

国立西洋美術館 外観

【DATA】

  • 所在地:東京都台東区上野公園
  • 設計:(本館)ル・コルビュジエ、(新館)前川國男
  • 施工:清水建設
  • 竣工:1959年、1979年

第二次大戦後にフランスから返還された「松方コレクション」を収蔵するために計画された美術館で、日本で唯一のル・コルビュジエの作品です。
コルビュジエは世界美術館計画案(1929年)やパリ現代美術館計画案(1931)において「四角の渦巻き型に発展する美術館」を繰り返し提案してきましたがしばらく実現することがなく、結局、インドのアーメダバード美術館、同じくインドのチャンディガールの文化センター、そしてこの上野の美術館の3作品だけで実現されました。

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せんだいメディアテーク

ファサード

【DATA】

  • 所在地:仙台市青葉区春日町2
  • 設計:伊藤豊雄建築設計事務所
  • 施工:熊谷・竹中・安藤・橋本JV
  • 竣工:2000年

 ケヤキ並木が続く仙台のメインストリート「定禅寺通り」に建つ図書館、展示施設、映像メディアセンターの複合施設。多様化する情報を集約した次世代のためのライブラリーとして計画されたものです。
 1995年、このライブラリーに相応しい設計者を選定するために公開コンペが実施され、伊藤豊雄氏の案が選定されました。コンペ案で提示された模型は軽やかで幻想的な提案でしたが、実際の建物は軽やかさよりもモノとしての力強さの方が前面に出ていて、コンペ案とは印象は違いますがすばらしい空間となっています。

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同潤会 青山アパートメント

青山アパート ファサード

【DATA】

  • 所在地:東京都渋谷区神宮前4丁目
  • 設計:同潤会建築部営繕課
  • 施工:神谷太一郎他
  • 竣工:1926〜27年

 ロケに使われたりマスコミで表参道といえば必ず取り上げられる有名な建物で、たとえ名前を知らなくても目にしたことがある人は多いと思います。ツタが這うファサードはケヤキ並木と一体となり、表参道のランドマーク的存在として親しまれていました。大企業の建物でも公共の建物でない建築が、都市のランドマークとなった例としてはもちろん、集合住宅が都市景観として定着した希少な例でしたが、2003年に建替えのため取り壊され、現在はその姿を見ることはできません。

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読売会館(旧有楽町そごう)

外観夜景

【DATA】

  • 所在地:東京都千代田区丸の内
  • 設計:村野・森建築事務所
  • 施工:1957年
  • 竣工:清水建設

 JR有楽町駅前という恵まれた立地条件でありながらも、三方を道路に囲まれた三角形の狭小で不整形な敷地は、百貨店としては決して恵まれた敷地ではありませんでした。しかしながら、関西の百貨店が戦後復興が進む東京に相次いで進出していた当時、「有楽町そごう」はその最後発として東京進出を果たし、有楽町のランドマーク的存在として親しまれてきました。その後、2000年9月にそごうの会社更生法申請に伴い43年間の歴史に幕を閉じ、翌年2001年6月には家電量販店が新しいテナントとなり現在に至っています。

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三信ビルディング

ボルトで留められたような外壁

【DATA】

  • 所在地:東京都千代田区有楽町1
  • 設計:横河工務所(松井貴太郎)
  • 施工:大林組
  • 竣工:1930年

日比谷公園に面して立つ昭和初期の事務所建築です。東西に細長い平面を持つこの建物は、外観は優雅さよりも大味な印象受けますが、よくよく見てみるとなかなか複雑なデザインが展開されています。
西洋建築を取り入れようとしたこの時期の建築物の例に漏れず3層構成のファサード。中層部と上層部はタイル張りとなっていますが、目を引くのは下層部のボルトを表した石張り。このような表現は、ウィーン・ゼツェッシォンを率いた建築家オットー・ワーグナーによる郵便貯金局(Postsparkassenamt/1906)にタイルをボルトで留めた表現が見られますが、国内では珍しいデザインなのではないかと思います。

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