Shiba park , Tokyo , Japan
「Architecture File」カテゴリーアーカイブ
吉本会館
【DATA】
- 所在地:大阪市中央区難波千日前
- 設計:村野・森建築事務所
- 施工:大成建設
- 竣工:1987年(昭和62年)
大阪を代表する繁華街である難波の東側、千日前に位置する笑いの殿堂「吉本興業」の大衆劇場。村野藤吾氏がお亡くなりになった後に竣工したためか、作品集で大きく紹介されていないものの、その存在はなかなか侮ません。ヴォリューム感のある銅版噴きの大屋根、その大屋根をグルリと取り囲む壁。その壁は、1つの柱間を「1単位」として、花をモチーフにした高窓、その下に大きな開口と両脇に縦長のバルコニーが配され、これが繰り返されるデザイン。イタリアの建築をご存知の方なら、この外観が非常に大胆な建築版「本歌取り」であることにお気付きになると思います。
旧千住郵便局電話分室
宝塚カトリック教会
【DATA】
- 所在地:兵庫県宝塚市南口
- 設計:村野・森建築事務所
- 施工:聖和建設
- 竣工:1966年
通称 「なめくじ教会」。うねる屋根、地面から生えてきたような荒々しい壁、屋根から連続して延びる塔。誰が初めにそう読んだのかは定かではありませんが、見事なネーミングです。
このなんとも形容しがたい独特の形状には、外国雑誌の広告で目にしたハイヒールのシルエットにヒントを得たという説があり、この教会の外観を連想させるスケッチも残されています。
ただ、そのスケッチには「小劇場の為メ」というメモが添えられており、ハイヒールのエピソードの真偽は定かではありませんが、村野藤吾の創作過程においては、同時に進むプロジェクト間でアイデアが行き来することは珍しくなかったと言われているので、「小劇場の為メ」のアイデアがこの教会に活かされたのでしょう。
聖橋
【DATA】
- 所在地:東京都千代田区神田駿河台
- 設計:山田 守
- 施工:不詳
- 竣工:1927年(昭和2年)
神田川に架かる震災復興橋梁。「聖橋」という名称は、湯島聖堂とニコライ堂を結ぶことにちなみ、公募の中から選ばれたものです。
大きな円形アーチと複数の大きさの異なる先尖りのアーチを左右に配した姿は、コンクリートの可塑性を活かしたシンプルで力強いデザインとなっています。この先尖りアーチは、当時、村野藤吾、長谷部鋭吉にも用いられたモチーフで、山田守は、東京中央電信局(現存せず)でも、この先尖りのアーチをファサードに取り入れています。
目黒区総合庁舎(旧千代田生命本社ビル)
【DATA】
- 所在地:東京都目黒区上目黒2丁目
- 設計:村野・森建築事務所/(改修)安井建築設計事務所
- 施工:大成建設/(改修)フジタ・青木・三海JV
- 竣工:1966年/(改修)2003年
もともと千代田生命保険の本社ビルとして建てられた建物で、同社が2000年に経営破綻した際、目黒区が購入し総合庁舎として改修されました。 改修にあたっては「村野藤吾による既存のデザインをできるだけ残す」ことを設計方針として、庁舎としての利便性・公共施設として安全性向上のための改修、耐震性向上のための構造的な補強等が行われました。
下関市地方卸売市場唐戸市場
【DATA】
- 所在地:山口県下関市唐戸町
- 設計:池原義郎建築設計事務所
- 施工:戸田建設・永山建設・野口工務店
- 竣工:2001年
昭和8年に開設された地方卸売市場。この卸売市場で特徴的なのは、一般のお客さんが市場の中に入って買い物ができる点で、文字通り下関市民の台所として古くから親しまれています。
卸売市場には見えないレンガ積みの外観は、近代建築の残る唐戸地区に違和感なく溶け込んでいる一方で、卸売市場に求められる大空間を確保するために最先端の技術が用いられている点も見逃せません。また、その卸売場の屋根は、関門海峡から北九州の門司まで見渡せる屋上庭園で、この建物の大きな見所となっています。
旧下関英国領事館
【DATA】
- 所在地:山口県下関市唐戸町
- 設計:ウィリアム・コーワン
- 施工:不詳
- 竣工:1906年
下関の唐戸地区で市民ギャラリーとして公開されている、英国領事館として建てられた建物です。
当時、領事館の候補地として下関と門司が挙がりましたが、その際、下関戦争後の講和条約締結で通訳を務め、高杉晋作と交流のあったアーネスト・サトウの英国政府への具申によって、1901年に下関に領事館が開かれました。その5年後、業務の拡大に伴い建てられたのがこのレンガ造りの建物です。設計者のウィリアム・コーワンは英国政府工務局上海事務所の技師長だった人物で、長崎の英国領事館の設計も手掛けています。
旧秋田商会ビル
【DATA】
- 所在地:山口県下関市南部町
- 設計:不詳
- 施工:関門商事(新富 直吉)
- 竣工:1915年
半球ドームを乗せた塔を持つ姿が印象的なこの建物は、下関を代表する海運会社、秋田商会の事務所兼住宅として建てられたものです。
外観は幾何学的に簡略化された装飾が施されていて、本格的な洋風建築というよりもどこかユーモラスなデザイン。当時は海岸線が間近に迫っていて、この塔は灯台の役目を果たしていたと聞きます。また、塔と並んでこの建物のもう一つの特徴が屋上庭園で、これは世界的に見てもかなり早い例とのことです。
パレスサイド ビルディング
【DATA】
- 所在地:東京都千代田区一ツ橋
- 設計:日建設計工務(林 昌二)
- 施工:大林組竹中工務店JV
- 竣工:1966年
皇居のお濠に面して端正な表情を見せているオフィスビル。巨大な2つの長方形平面の事務室の空間を長手方向にずらして、その東西の入隅部分に円筒形コアを配したシンプルな平面構成となっています。その中に事務所、店舗、駐車場などが効率よく収められ、近代建築が標榜した機能主義的な考え方が徹底されています。しかし、機能主義的な考え方が貫かれていると言っても多様性を備えた美しい外観で、皇居の緑豊かな環境に対峙して美しい景観を創り出しています。