Kazuya Urakawa について

写真家/一級建築士。札幌出身、東京在住。大阪市立大学建築学科で建築史を専攻し、卒業後は建築設計とまちづくりに従事。都市と建築の魅力を広く伝えたいとの思いから、2002年にCittà Materiaを立ち上げ、2005年から本格的に写真に取り組み始める。写真製作のテーマは「都市と建築」「場所の記憶」「都市の一回性」。

写真展「すみだ川画暦 ~The Sumida River Almanac~」を終えて

フライヤー表面

2022年3月27日に写真展「すみだ川画暦 ~The Sumida River Almanac~」が終了しました。会期中はたくさんのお客様に御来場いただき、展示、ダミーブック、完成版のアーティストブックをご覧いただくことができました。初日のギャラリートークや会場でお客様にお話ししたこと、十分にお伝えできなかったこと、そして展示最終日から撤収までに起こった出来事を、展示後記として記録しておきたいと思います。

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浦川和也 写真集「すみだ川画暦(えごよみ)~THE SUMIDA RIVER ALMANAC〜」

浦川和也 写真集「すみだ川画暦(えごよみ)~The Sumida River Almanac〜」2冊組、リマインダーズ・フォトグラフィー・ストロングホールドにてご注文受付を開始いたしました。



『すみだ川画暦(えごよみ)~The Sumida River Almanac〜』

私は2012年頃から隅田川の定点観測を続けてきました。天候や潮の干満等によって水面の表情はいつも異なり、川沿いの木々は季節に応じて多様な表情を見せます。さらに行き交う船や構造物の変化、すなわち人の営みが加わることによって川の眺望は一瞬として同じことがありません。しかしこのような微小な変化に対して、私たちの視覚と意識は意外と鈍感です。

ある日、定点観測を続けながら隅田川について調査を進める中で、歌川広重が描いた三枚組の浮世絵に出会いました。広重が描いた隅田川は現代の眺望とは似ても似つかないものでしたが、その川の線形から正に当時私が定点観測で向き合っていた場所であるように感じ、この一致を浮世絵の中に示された地名や社寺の名称から確認することができました。そして毎日の定点観測に観る微細な変化と約200年前に描かれた浮世絵との対比から、美術史家ジョージ・クブラーが提唱した「系統年代」を思い出し、隅田川の歴史を遡りはじめたのです。

クブラーの提唱した「系統年代」とは、私たちが日常の中で使用する時間軸である「絶対年代(absolute age)」と対立する時間性の概念です。彼は、あらゆる事物は各々異なる時間軸である「系統年代(systematic age)」を持っていて、その系統年代に起因する特徴を持つとともに、事物の置かれた時代がもたらす特徴や外観としてのまとまりをも持った複合体になると述べ、絶対年代による等質的な歴史観では捉え難い時間の複数性や非同期性に注目しました。都市は言うまでもなく様々な系統年代を持つ事物の複合体であり、その時間性は系統年代の複合として表れるのです。

東京は約400年という短期間で世界有数の大都市に変貌を遂げましたが、ヨーロッパの諸都市と比べると歴史的記憶に乏しく現在でも相当な速度で変化し続けています。江戸時代以降、改変の歴史を繰り返しながら首都を代表する川であり続けてきた隅田川は、江戸・東京のドラスティックな変化を見てきた生き証人と言えるでしょう。200年前とは全く変わってしまった眺望と200年前から変わらず残る線形の対比、一年の中に見える微細な変化、そして隅田川にまつわる様々なエピソード、これらをひとつのオブジェクトに圧縮した本プロジェクトは、東京の生き証人である隅田川の系統年代を浮き彫りにするのです。

浦川和也


書籍詳細
①The Sumida River Almanac
サイズ:120㎜×210㎜
和綴じ、ソフトカバー、786ページ
※表紙の写真は、55部全て異なります。選択はできませんので、お手元に届くまで楽しみにしてください。
②The Sumida River Almanac:Draft
サイズ:329㎜×241㎜
中綴じ、ソフトカバー、112ページ

◎部数:55部
◎写真・編集・印刷・製本: 浦川和也
◎コンセプト、ストーリーライン、アートディレクション:後藤由美(リマインダーズフォトグラフィーストロングホールド)
◎価格:22,000円(消費税込、別途送料)、 全エディション署名入り

浦川和也 写真展「すみだ川画暦(えごよみ)~THE SUMIDA RIVER ALMANAC〜」

3月12日(土)から、東向島の写真ギャラリー Reminders Photography Stronghold Gallery の2022年度 企画展第1弾として、浦川和也 写真展『すみだ川画暦(えごよみ)~The Sumida River Almanac〜』が始まりました。

2012年頃から隅田川の定点観測をはじめ、それと並行して隅田川の歴史についてリサーチを進めていました。2018年末、それらの成果を作品としてまとめることを決心し、平成から令和への改元という時代の節目である2019年からオリンピックイヤーのはずだった2020年にかけて丸一年、定点観測による毎日の撮影を実行しました。本作は、定点観測に表れる微細な変化と隅田川の歴史に刻まれた大きな変化のコントラストから、私たちを取り巻く時間について再考を試みるプロジェクトです。

本展示では、本展と合わせて販売開始となった写真集「すみだ川画暦 The Sumida River Almanac」のサンプル、製作過程のダミーブックもご覧いただけます。また会期限定のプリント販売もご用意しておりますので、桜の開花を迎える散歩日和のいい季節、向島散策を兼ねてぜひご来場くださいませ。

The Sumida River Almanac, ©︎Kazuya Urakawa

会    期:2022.03.12(土)~2022.03.27(日)
展覧会URL:https://reminders-project.org/rps/kazuyaurakawa_jp/
開廊時間:13:00〜19:00
入 場 料:無料
会   場: REMINDERS PHOTOGRAPHY STRONGHOLD (http://reminders-project.org/rps/ja/)
住   所:〒131-0032 東京都墨田区東向島2-38-5

Destroyed House, Marjan Teeuwen

 これまでアフリカ、ガザ、ロシア、オランダ等で製作してきたマリアン・ティーウェン。本展で彼女は、京都の典型的な住宅形式である長屋の3住戸を会場として、1住戸では過去のインスタレーション作品の大きなプリントを展示し、残り2住戸では9作目のインスタレーション作品となる「Destroyed House Kyoto」を製作した。

Photo Exhibition: Destroyed House(2020)photo by Kazuya Urakawa
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本棚

画像

My Bookshelf
My Bookshelf

同じ本を持っているひとは世界中に何人もいるけれど、「本棚」は持ち主の数だけある唯一無二の世界。きっと、そこには持ち主の思考を育んだ文脈が垣間見ることができるはず。

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写真展「Reconstructed」オンライン・ビューイングとインタビュー記事公開のご紹介

先日お知らせしましたとおり、浦川和也写真展「Reconstructed」は4月8日を最終日とさせて頂きましたが、ご自宅で作品鑑賞を楽しんでいただけるよう、オンライン・ビューイングを開設しました。
ステイ・ホームの日々が続きますが、この機会に作品を楽しんで頂けましたら幸いです。

http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/online/2004urakawa/

またインタビュー記事もアップされました。今作「Reconstructed」とその背景についてお話ておりますので、オンライン・ビューイングと合わせてご覧ください。

http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_2004_urakawa_interview.html

写真展「Reconstructed」休止のお知らせ

4月3日に初日を迎えました写真展ですが、4月7日に発令された非常事態宣言を受け、4月9日から5月6日までギャラリーが臨時休業になりましたので、4月8日をもって終了とさせていただきました。4/15の本棚イベント、4/24のクロージングパーティも中止となります。

開催日4日と短い期間でしたが、ご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。

新型コロナウィルスに翻弄される毎日ですが、皆様のご健康とご無事をお祈りしつつ、平穏な日々が戻ってから皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。


新型コロナウイルスが猛威をふるっておりますが、4月3日から25日の会期で、中野のギャラリー冬青で個展をさせて頂くことになりました。

展示開催に合わせまして、
 4月3日:アーティスト北桂樹さんとのオープニングトーク
 4月15日:作家の頭の中見せます ~本棚が語る、作家の素顔~
 4月24日:クロージングパーティー

を開催いたします。
こちらもぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。

イベント参加をご希望される方は、
gallery@tosei-sha.jpまでご連絡ください。
メールには「参加ご希望のイベント」「お名前」「人数」「お電話番号」をご明記いただけますと幸いです。


なおイベント開催日と土曜日は在廊する予定です。
ご来場お待ちしております。

《開催概要》
 浦川 和也 写真展「Reconstructed」

 会場:ギャラリー冬青
    〒164-0011 東京都中野区中央5-18-20
    TEL:03-3380-7123(代)
    地下鉄丸の内線 新中野駅1番出口より徒歩6分
    JR中央線・地下鉄東西線 中野駅南口より徒歩12分
 会期:4月3日〜4月8日25日
   (日曜日、月曜日、祝日は休廊)
 開廊時間:11:00〜19:00
 URL: http://www.tosei-sha.jp/TOSEI-NEW-HP/html/EXHIBITIONS/j_2004_urakawa.html

【イベント】
①浦川和也×北桂樹オープニングトーク
・日 時:2020年4月3日19:00~
※ 開催方法をZoomミーティングによるオンライン配信に変更しました。

②作家の頭の中見せます ~本棚が語る、作家の素顔~
同じ本を持っているひとは世界中に何人もいるけれど、「本棚」は持ち主の数だけある唯一無二の世界。きっと、そこには持ち主の思考を育んだ文脈が垣間見ることができるはず。

という考えのもと、ギャラリー冬青で展示中の作家が、一夜限り自宅の本棚の一部をギャラリーの片隅に再現し、参加者のみなさまには、それらの本を自由に閲覧していただきます。

なぜその本が作家の本棚にあるのか、そうした本が作品とどのように繋がっているのか、などなど思いを馳せながら、作家、そして参加者同士が、本を介して写真やアートについて語り合う時間をお過ごしいただく自由な会です。

・日 時:2020年4月15日19:00~
・参加費:無料
・定 員:10名(予約制)

③クロージングパーティー
・日 時:2020年4月24日19:00~
・参加費:無料

Tokyo Perspective

2017/12/15 おかげさまで50部完売いたしました。

東京の写真ギャラリーReminders Photography Strongholdで開催されたワークショップ PHOTOBOOK AS OBJECT に参加して制作していたアーティストブックの販売を開始しました。
PHOTOBOOK AS OBJECTワークショプでは、本以上の存在感がある作品、内容が触知でき、理解を更に深める事を可能にする本作りを目指し、期間中に最初のダミーができてから終了後も本の中で何が出来るのか問い続けながらダミーを作り続けることによって、最も自分が作りたかった本に近づけていきます。最終的に完成した本書は、印刷から製本まで全ての工程が作家自身の手で制作されるアーティストブックになります。

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