Gakushuin University , Mejiro , Tokyo , Japan
前川國男設計による大教室。2008年3月いっぱいで解体予定とのことで、2008年1月12日、13日に開催された見学会に行ってきました。
この建物は、昭和34年に策定された大学の総合計画で「学問のコア」の中心に位置づけられていました。前川國男氏は「学問のコア」ふさわしいデザインを模索した結果として、ピラミッド型のデザインに行き着いたのでしょう。
ピラミッド校舎という愛称になってますが、性格には頂点が対角線方向に偏心した四角錐型。菱形を単位としたトラス状の構造形式。構造体は教室内部やピロティで表しになっていて、デザイン的にも重要な要素となっているのが分かります。
内部は対角線が軸になるように教壇と座席が配置された大空間で、前述した頂点の偏心は、教壇に向かう立体的な方向性を強調する意図から生まれたことがはっきりと読み取れます。。
また、大きな円形の照明も非常に印象的で、竣工当初から改修されてデザインは変わってますが、教室の求心性を高めるのに大きな役割を担っています。
これだけ特長的な空間が失われてしまうのはとても残念。実は、解体のニュースを聞くまで、この建築の存在を知らなかったのですが、印象的な空間体験でした。
【DATA】
- 所在地:東京都豊島区目白
- 設計:前川國男建築設計事務所
- 施工:大成建設
- 竣工:1960年
こんにちは。
こちらの建物の記事は私も見ました。
この後に立つのが11階建てのビルだとか。
皇室関係の方通い、伝統的な学校にも拘らず何の味気もない新たな象徴が出来てしまい、文化的センスがないなーと感じてしまうのは私だけでしょうか。
それとも時代の流れのせいにしていて良いのでしょうか。確かに老朽化による安全性などは最優先事項なんですけど・・・
お邪魔しました。
kenさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
施工品質が極端に悪いモノは例外として、鉄筋コンクリートや鉄骨で造られた建物の寿命はもっと長いですし、本来、建築は更新しながらもっと長い間つかっていけるものです。
時代の流れのせいではありますが、長い歴史の中では一過性のこと。この建物に限らないことですが、今ある空間を失ってしまうことの損失は文化的には非常に大きいと思います。
失ってみないと分からないのかもしれませんが、失ってからではおそいんですけどね。
確かに度肝を抜く建物です。これを見たので学習院に入学したのかもしれません。
しかしどういう訳か、それほど愛着がないんです。キャンパスの真ん中にほとんど使用されない建物がある、という無駄は現在の学習院に余裕がなくなってしまうほど私大間の競争が激しくなっているんでしょうね。
受験生対策や在学生の利便性を考えると14階建ての大型建物も良いような気がします。法科大学院の自習室、すべて英語で授業の新学部、学生ラウンジなど他の私大との競争を意識して建てるようです。
自分としては屋上庭園や太陽光発電を望みますが、ちょっと世間受けする考えはまだ学習院当局にはないようです。
はな子さん、こんばんは。
実際に大学に通われた方の印象をお聞きかせいただきまして、ありがとうございます。
ご指摘いただきましたとおり、大学は少子化時代の中で学生の争奪戦が激しくなっているようですね。しかも私立に限らず国公立も同様のようです。
とは言え、大学は学問の場としてキャンパスのマスタープランを非常に重視すると思いますので、大学の理念を受け継ぐものとして使い続ける建築と壊されてしまう建築に分けられるのだろうと想像します。
前川國男氏は、このピラミッド校舎の設計にあたってキャンパスの中心となることを念頭においていたわけですが、こうして取壊されてしまったという結果を見ると、残念ながら前川氏の理念は引き継がれなかったということなのかもしれません。
qazさん、早速のレス有り難うございました。
ピラ校の写真アングルもすばらしいですね。ピラ校の外側斜面は相当危険らしく
登れば停学となっていたようですが、
頂上避雷針に何ヶ月も赤旗がたなびいてい
た懐かしい時期もありました。
ところで大島渚監督の日本春歌考は学習院
の前川國男氏建築作品を舞台として撮られ
ています。階段教室での猥褻シーンは今も
強烈です。
キャンパスのマスタープランではやはり
ピラ校跡地は中心になります。それを考え
ると、前川建築作品の大学図書館、北一号館、理学部教室は、そう遠くない時期に
順次取り壊されるのではないのでしょうか。
それらも貴重な建物ですので写真にして見せてくださいね。
はな子さん
色々と貴重なお話をいただきありがとうございます。大島渚監督の映画のお話は初めて聞きました。
学習院の新しいマスタープランをご存知なんですね。取り壊しの前に他の前川作品も見に行こうかと思います。