汐入タワー

Shioiri Park , Tokyo , Japan

「東京インプログレス―隅田川からの眺め」の核となる施設。「東京インプログレス」とは、川俣正氏によるアートプロジェクトで、ワークショップやシンポジウム等によって東京を再考するというもの。この木造地上5階建ての展望塔は、東京を眺めるために隅田川の水辺につくられました。タワーといっても、塔の高さは10.7m、塔の直径6.0m、展望台部分の直径8.5mとそれほど大きいものではなく、ポテっとしたプロポーションの外観。外壁は無造作な板張りで、板と板のあいだに開いた隙間がランダムなスリットを形成し、塔の内部に光を取り入れています。


外観

最上階の展望台にはスロープでグルグル回って上がります。途中の2~4階に小さなギャラリーが設けられてるため5階建てとしましたが、スロープには踊り場が無く展望台までシームレスに続いているため、建物を1階ずつ上がるというよりも坂道を登っていく感覚で展望台にたどり着きます。スロープは仕上げも無く無造作に構造体がむき出にされている上に、スリットからの明かりだけの薄暗い空間ですが、展望台までの高揚感を生み出す効果的な仕掛けとなっています。

辿り着いた展望台は、高さ7m弱と決して高くはないですが、360度眺めることができて、長大な白髭の防災団地とスカイツリーの眺めはなかなかのものです。


スロープ内部


屋根架構を見上げる

【DATA】

  • 所 在 地:東京都荒川区汐入公園内
  • 竣   工:2011年
  • 構造/階数:木造/地上5階
  • 設   計:川俣正
  • 施   工:日沼智之氏とボランティアの方々