耐熱ガラスメーカー「ハリオグラス」の本社ビル。最初は川崎貯蓄銀行富沢町支店として建設され、常陽銀行東京支店、同行堀留支店として使われるものの銀行店舗は閉店。しばらく使われない時間を過ごしたようですが、2000年、同社が創業80周年記念事業の一環として、本社をこの建物に移転して現在に至り、2001年には登録有形文化財に登録されています。
外観は、明治〜昭和初期の銀行や保険会社の建物に数多く見られる、西欧古典主義様式によるデザイン。この建物では1、2階を貫くコリント式の大オーダーが2つの通りに面して並べられますが、隅切りされた角の処理に建築家の苦労の跡が見られます。その隅切りされた北西角に設けられた玄関は、コリント式大オーダー1スパンにイオニア式とドーリス式を巧みに組合せ、存在感のある堂々とした構えをつくっており、この建物の見所の一つとなっています。
しかし、古典主義様式の装飾が用いられるのは2階まで。3階は窓廻りにもパラペットにも一切装飾が無く素っ気無いもので、あたかも箱を乗せたように処理されてるのが不思議なところです。この3階が竣工当初からの姿だとすると、担当した建築家は敷地面積、要求された建物規模や機能、そしてオーダーの寸法比例との間で試行錯誤を繰り返し、デザインをまとめ上げるまでに相当な苦労があったのでは?などと邪推してしまいます。
この10〜15年間にずいぶん多くの近代建築が無くなってしまいましたが、川崎貯蓄銀行の建物は東京と大阪で残っていて、いずれも用途を変えて現役で使われている珍しい例になっています。
【DATA】
- 所 在 地:東京都中央区日本橋富沢町
- 竣 工:1932年
- 構造/階数:鉄筋コンクリート造/地下1階地上3階
- 設 計:川崎貯蓄銀行建築課
- 施 工:竹中務店
sampomaster さん、はじめまして。
ヨナデン・ロクタと申します。
勝手ながら
拙ブログのエントリ『柱頭を愛でる 1 』にて↓
http://jonaden.jp/data/20120505092414.htlm
Citta’Materia を紹介させていただきました。
表現には気をつけたつもりでおりますが、
不手際がありましたら直ぐ対応いたしますので、
遠慮なくご連絡くださいませ。
ヨナデン・ロクタさん
はじめまして。ご紹介、ありがとうございます。
記事、拝見しました。東京、大阪の支店をそれぞれ関係付けた上に、デザインの注釈もしっかりしていて充実した記事ですね。「柱頭を愛でる」以外の特集もとても面白そうです。
こんな充実したブログで、私のブログをご紹介いただいて、ありがたいやら、照れくさいやら。ありがとうございます。
「もうDIYでいいよ」、これから少しずつ拝見させてください。