【DATA】
- 所在地:大阪市中央区心斎橋筋
- 設計:ヴォーリズ建築事務所
- 施工:竹中工務店
- 竣工:1922、1925、1933
御堂筋に面して壮麗な姿を見せる老舗の百貨店。すでにその姿を消してしまった「そごう百貨店」と並んで心斎橋の顔とも言える建築です。モダンなデザインの「そごう」に対して、内部外部ともに多様な装飾が施された大丸、ほぼ同時代の建物でありながらまったく異なるボキャブラリーによる二つの建物が並んでつくり出す都市景観は、本町の大阪ガスビルディング、難波の新歌舞伎座と並んで、御堂筋を特徴付ける重要なものでした。
アメリカンゴシックスタイルと言われる西側のファサードは、南北の端部に塔を配した明快な3層構成のデザイン。頂部と低層部には、スクラッチタイル張りの中層部を挟むようにして繊細な装飾が施されており、特に両端の塔とが見所です。また、心斎橋筋側中央エントランス上部のアーチに見られる孔雀のレリーフも見所の一つです。
一方、内部はアールデコ調の照明器具や装飾であふれ見所は尽きませんが、エレベーターホールに見られる階数表示はグラフィカルで大胆なデザインとなっています。
設計者のW・M ヴォーリズは1905年に英語教師として来日。宣教師、近江兄弟社の創業者等、建築設計に限らず多岐にわたって活動していた人物で、西宮の神戸女学院や関西学院大学、日本基督教団大阪教会など、国内各地で多くのキリスト教建築を手がけています。