Guild House, Spring Garden Street, Philadelphia, PA, US

ロバート・ヴェンチューリ設計のギルド・ハウス。91戸の高齢者向け集合住宅。建物全体を覆っている茶褐色のタイルと完全に左右対称な外観のおかげで、一見するとシンプルでなんてことのない建物に見えますが一筋縄ではいきません。

正面最上階に暴力的に現れる大アーチ、窪んだ入口の中心に黒御影石の円柱が置かれた真っ白な玄関廻り、玄関の上バルコニー手摺に無造作に書かれたロゴ、微妙に不揃いな十字が切られたマンガのような正方形の窓、５階の途中で水平に引かれた白いボーダー等々。左右対称という統一感の中につくられたささやかな混沌とでも言えばいいのか、外観を構成する要素のどれもこれもが脈絡なく唐突に置かれてるようにしか見えません。そこがヴェンチューリの狙いだと思いますが。

ちなみに、ヴェンチューリが「リッポルド調の彫刻として、また多くの時間をテレビを見て過ごす老人を象徴するものとしてのモニュメンタリティを表現した」と説明していた、正面の頂部ど真ん中に置かれたテレビのアンテナは既にありませんでした。

設　計：ロバート・ヴェンチューリ
所在地：ペンシルヴァニア州フィラデルフィア市
竣　工：1965年