札幌市資料館(旧札幌控訴院)

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Sapporo , Hokkaido , Japan

旧札幌控訴院 外観

旧札幌控訴院 階段室照明

【DATA】

  • 所在地:札幌市中央区大通西13-4
  • 設計:司法省会計課
  • 施工:直営
  • 竣工:1926年

 全国8箇所に建設された控訴院のうち名古屋と並んで現存する二つの建物の一つ。1973年から札幌市資料館として利用されており、現在は、街づくりの歴史展示室、札幌出身の漫画家である故おおば比呂司氏の作品を展示したおおば比呂司記念室室、ギャラリー等が設けられています。

 明治中期〜大正期に建材として一般的に用いられていた札幌軟石で覆われた外壁、そこにリズミカルに開けられた縦長の窓のプロポーションの窓が特徴的で、強い中心性を持つ左右対称の外観は大通公園の西端のアイストップとしてふさわしい堂々としたデザイン。この外観を特徴付けている札幌軟石は構造材ではなく、レンガ造と鉄筋コンクリートの床を組合わせた混構造となっていることも技術的な特徴です。

 建物中央の車寄せには、目隠しをしたギリシア神話の法の女神テミスの頭像、その両脇には正義を表す剣と公平を表す天秤を組合わせたレリーフが配され、控訴院という用途に結びついた装飾が施されています。

 玄関ホールと階段を中心に据えて民事法廷と刑事法廷を左右に配置したコの字型の平面計画は、堅実なプランで目新しいものではありませんが、曲線を描く階段は折上げ天井や照明器具も美しく、この建物の大きな見所となっています。