【DATA】
- 所在地:大阪市北区中之島3
- 設計:渡辺 節建築事務所
- 施工:大林組
- 竣工:1918年
大阪中之島、堂島川に面して建つ、中之島界隈の重要なランドマークとなっている建物です。
遠方より一見すると、スクラッチタイル張りの外壁に縦長の窓がリズムよく割付けられたシンプルな外観ですが、中之島通り沿いの庇から下の部分には非常に密度の濃い意匠が凝らされており、通行人の目を楽しませてくれます。
特にの密度は濃く、ロマネスク建築を髣髴とさせる趣向を凝らしたすばらしい装飾を見ることができます。また、東隣のが建物の前に花を飾っているのですが、スクラッチタイルの前に並ぶ花々はなかなかよい雰囲気です。
2層吹抜にバルコニーがまわされたは大きな空間ではないながらも、 天井、バルコニーの手摺など各所に凝らされた装飾はとても美しいもので、特に照明と一体となった天井は2階に上がって近くからご覧になることをお勧めします。
設計者の渡辺節は大阪の本町にある綿業会館など、洋風建築の名手として有名な戦前の大阪を代表する建築家ですが、「そごう百貨店心斎橋店」を手掛けた村野藤吾はその弟子にあたります。この師弟間の作風の違いを見るのも、なかなか興味深いものです。
渡辺節の代表作であるこの建物も、東に建つ関西電力本社の建替えに伴う大規模な再開発に伴い、姿を消すことが決まっています。