【DATA】
- 所在地:東京都千代田区丸の内
- 設計:逓信省営繕課(吉田 鉄郎)
- 施工:銭高組
- 竣工:1931
大阪中央郵便局と同じく逓信省の建築家、吉田鉄郎の設計による郵便局舎。東京駅丸の内出口を出て左手に見えるこの建物は、大阪と同様に、柱梁を顕にした真壁の和風建築から着想したと言われる外観が特徴です。
大阪と同様無装飾で簡潔なファサードで、そっけないくらいの印象を受けますが、西洋の様式主義的な意匠を体得しようとする動きがまだまだ見られた当時にあって、この建物が首都東京の表玄関に姿を現したことは、非常にインパクトのある出来事だったのではないかと思います。
一目見て大阪と異なるのは、外装材と平面形状で、大阪中央郵便局は徹底して直線を貴重としたファサードにグレーのタイルが張られているのに対して、この東京中央郵便局は不整形な敷地に沿って滑らかにカーブするコーナー部分を持つ外観に白色のタイル張りと対照的です。
また、柱梁によって水平垂直を強調されたファサードの表現は両者共通ですが、これらを比較して見てみると、大阪では窓枠が柱梁に直接接しており、徹底して構造部材を強調した表現であるのに対して、こちらは柱の両サイドに若干の袖壁が残り、真壁構造を模した表現としては未完な印象で、吉田の考えた近代における日本的表現としては、まだプロトタイプに位置付けられるのではないかと思います。
この郵便局はファサードの表現に言及されることが多いですが、背面の平滑な外壁から迫り出したバルコニーや非常階段、荷捌場の庇等に見られる大胆なデザインも見所で、当時ヨーロッパから伝わっていた近代建築の潮流を強く意識していたことがうかがえます。
仕事場なのに効率を考えた建物にしたほうが良いとおもう。
備品が古くて使ってる人たちは不便じゃないのかしら。
歌舞伎座さん、こんばんは。
ご指摘の通り、郵便局や事務所のままでは不便なところはあると思います。
ただ、建物の機能を変えてはいけない理由はありませんので、
もし保存+開発が可能であれば、
旧郵便局を商業等の別の用途にコンバージョン
+郵便局機能を新築建物側に配置することはできると思います。
また、大丸有地区では地区内で容積を移転することもできますから、
保存+容積移転も検討の余地があるでしょう。
先日、大きくニュースで取り上げられましたが、
その後の動向が気になります。